Sign in with Apple(Appleでサインイン)~iOS 13 Public Betaで検証~とLINEログインを比較して日本で普及するかを考えた

Sign In with Apple

2019年6月4日(日本時間)、Appleが開発者会議「WWDC19」の基調講演にて「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」を発表しました。Appleは以前からセキュリティ重視を全面に打ち出しています。

日本で利用されている主なソーシャルログインのプラットフォームとして、LINE、Yahoo! JAPAN、Facebook、Twitter等があります。

「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」は他のソーシャルログインとどう違うのか、メリット、デメリットを踏まえて、日本で普及するのか、ユーザーは実際に利用するのかを考えてみました。

このタイミングで記事を公開する理由

iOS 13 Public Beta4 からブラウザ経由での Sign in with Apple(Appleでサインイン) が劇的に使いやすくなりました。詳細は後半にて紹介します。

ソーシャルログインとは?

会員登録が必要なサイトでプラットフォームのIDを使ってログインをする事です。
また新規会員登録時に各プラットフォームから取得可能な情報をユーザーの許可を得て、登録フォームの項目へフィルインさせる事も出来るので、会員登録が簡単になります。

全てのプラットフォームで下記のような認可画面が用意されています。ソーシャルログイン時にユーザーは認可画面上で企業に対して提供する情報を選択する事が可能ですが、一部選択出来ないプラットフォームもあります。

現在のプラットフォーム別のソーシャルログイン利用率

まずは現状のおさらいです。
弊社の調査結果(2018年2月~2019年1月)になるのですが、日本ではLINEログインが圧倒的に利用されています。ソーシャルログインというとFacebookとTwitter、Googleの印象が強いのですが、日本は他の国と異なり独自の路線を進んでいます。

ソーシャルログイン利用状況調査2019:利用アカウントの割合
ソーシャルログイン利用状況調査2019:利用アカウントの割合

LINEログインが沢山のユーザーに利用されている理由としては4つあります。

  • スマホでのオートログインによる圧倒的なUX
  • iOS/Android共にユーザーの端末にほぼインストールされている
  • 日本国内の月間アクティブユーザー数が8,100万人以上(※LINE紹介資料 媒体資料 2019年10月-12月期 より)
  • 多くの企業がLINE公式アカウントをコミュニケーションチャネルとして活用している

上記の通り、ユーザーと企業、双方のニーズをきっちりと満たしています。
つまりユーザーが使いたいと思っても企業が設置しなければ誰も利用できず、企業が設置してもユーザーが使いたいと思わなければ誰も利用しない事になります

スマホシフトが進んでいるサイトであれば、事実上 Apple vs LINE になるイメージです。

「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」の単体の機能の話ではなく、重要な点として、ユーザーが使いたいと思うか、企業が設置したいと思うか、この2つの視点から比較をしていきたいと思います。

ユーザー視点での使いやすさ

iOS 12 では、スマホのブラウザ経由の Sign in with Apple (Appleでサインイン)の場合、Apple ID と PW の入力を求められました。iCloudキーチェーン(※ 以下キーチェーン)に Apple ID と PW を登録していれば生体認証で呼び出せますが、キーチェーンのマスターキーとなる Apple ID と PW をキーチェーンに登録している人は稀だと思います。そのため、ブラウザ経由での Sign in with Apple(Appleでサインイン) は使い勝手が非常に悪い印象でした。

※iCloudキーチェーンとは:ユーザ名やパスワード、クレジットカード、Wi-Fi のパスワード、ソーシャルネットワークのログイン情報などの情報を保存し、承認済みのすべてのデバイスで自動入力することができる機能。(※参考:iCloud キーチェーンを設定する – Apple サポート

iOS 13 Public Beta4から、Sign in with Apple(Appleでサインイン) はブラウザ経由でも顔認証の「Face ID」もしくは指紋認証の「Touch ID」によりID/PWを入力することなく認証を済ませる事が出来るようになりました。非常に便利です。おそらくiOS13が正式リリースされるタイミングが Sign in with Apple(Appleでサインイン) の正式なリリースになるかと思います。

使いやすさという点で先行しているLINEはどうかというと、スマホのブラウザからLINEアプリを呼び出し認証を行うオートログインの機能があるので、iOS/Android共にID/PWを入力することなく認証を済ませる事が出来ます

 

またPCからのLINEログインでも、画面に表示されるランダムのQRコードをLINEがインストールされている端末で読み取る事でID/PWを入力する事なく認証を済ませる事が出来ます。

スマホでの便利さという点はどちらもID/PWを入力しないで認証出来るので互角ですが、LINEはAndroidもカバーしている点が大きな違いです。日本は他の国に比べてiOSの比率が高いですが、それでもAndroidの利用率は50%以上あります。(参考:2019年版|モバイル社会白書Web版|NTTドコモ モバイル社会研究所

PC上での「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」はID/PWの入力が必要なので、現時点ではLINEログインの方が便利です。

会員登録時のフォームへのアシスト機能

企業がWEBサイトにソーシャルログインを設置したい理由として、新規会員登録フォームでの離脱率を下げたいという理由が非常に多いです。

離脱率を下げるには下記の2つの方法があります。

  • プラットフォームから取得した情報で自動的に会員登録フォームの項目をフォームを埋める
  • 会員登録フォームの項目を減らす

両方実施する事がベストなのですが、ソーシャルログインは前者に貢献する事が出来ます。しかしプラットフォームにより取得できる情報は異なるため、貢献度合いも変わります。

「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」では登録しているメールアドレスを通常のメールアドレス・使い捨てのメールアドレスから選択する事が出来ます。

一般的なWEBサイトでは会員登録時のメールアドレスをIDにするケースが多い為、使い捨てメールアドレスを選択した場合、完全に Apple IDに依存する形になります。

WEBサイトによってはソーシャルログインで会員登録した際に、保険としてメールアドレスをIDとし、PWも設定して会員登録をさせる事で、機種変更をしてIDが不明になった場合や、ソーシャルアカウントを削除してしまった際などでもWEBサイトへログイン出来るようにしています。

使い捨てメールアドレスで会員登録した場合、スマホでのみインターネットを利用するのであれば問題ないですが、PCでもインターネットを利用している場合、使い捨てメールアドレス自体を覚えていることは稀だと思われるので、セキュリティ面ではユーザーフレンドリーですが、実用面ではWEBサイトの仕様上あまりユーザーフレンドリーとは思えません。Mac利用でブラウザがSafariであれば、キーチェーンによりサイト毎にSafari側にID/PWを記憶させる事は出来ます。

実際にどれだけの人が「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」で使い捨てメールアドレスを選択するかは現時点ではわかりませんが、日本では意外と少ないと思っています。

企業へ提供できる個人情報としては「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」は姓名・メールアドレス(本物と使い捨て)です。LINEログインについてはProfile+というオプション機能により、LINE社の審査を通過した企業については姓名・メールアドレス・電話番号・性別・生年月日・住所が提供可能です。既に述べた通り、ユーザーは企業に提供する個人情報を選択する事が可能で、後から変更することも出来ます。

取得できる個人情報が少ないと、そもそも企業が積極的に導入しないという背景は少なからず「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」のシェア拡大に影響するはずですが、最低限の企業のニーズは満たしている印象です。

結論

「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」とLINEログインをトータルで比較するとLINEログインの方がユーザー・企業のニーズを多く満たしています。

ただし、ユーザーがどのプラットフォームのソーシャルログインを利用するかは好き嫌いなどの個人差もあるため、ユーザーから見て魅力のあるソーシャルログインが増えることは素晴らしい事です。「Sign in with Apple(Appleでサインイン)」のシェアは間違いなく増えていくでしょう。

特に大手のプラットフォームは2要素認証や不正検出などセキュリティ面でも安心感があるので、インターネットで世の中をより良くしていくためにも企業の利益を優先せずに、サードパーティーと協力してセキュリティを担保しつつ今まで以上に企業が導入しやすい環境を用意する事が、更なるプラットフォームの発展に繋がると思っています。

「ソーシャルPLUS」について

「ソーシャルPLUS」は、ソーシャルログイン機能をベースに、自社サイトの外部ID連携を簡単かつ安価に実現できるASPサービスです。
サイトの会員登録数・購買のコンバージョン率の最大化を支援し、顧客接点の拡大から売上向上まで一気通貫で実現するマーケティング基盤を提供します。LINEやFacebook、Yahoo! JAPANなど、複数のプラットフォームに対応しています。
・ソーシャルPLUSについて:https://socialplus.jp/

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