
※ 2020年版最新記事「LINE公式アカウントや費用総まとめ~基本機能だけじゃない!一歩進んだLINE活用」を公開しました。
費用や機能が異なる5つの法人向けアカウント(※)が「LINE公式アカウント」として1つに統合されることで、多くの企業にとって今後LINEをどう活用すべきかを再考する機会となりました。
とりわけ運用コストに直接影響のある「通数課金」に関する話題がフォーカスされがちですが、一方で多くのビジネスにとって、LINEの企業アカウント作成のハードルが下がり、簡単にAPIを含む各種機能を試せるようになったのも事実です。
すでにLINEアカウントを運用していて新アカウントへの移行が必要なケースはもちろんのこと、これから新規にLINE公式アカウントを取得するケースにおいても、表面上のコストだけでなく費用対効果(ROI)とユーザーファーストで考えることが重要です。
LINEのビジネスプラットフォームや提供サービスの理解を深めつつ、それらを自社にとりいれることでどんなメリットや効果があるのか、そしてその費用対効果についてしっかりと検討した上でLINEの活用施策を検討しましょう。
今回は統合後のLINE公式アカウントで何ができるのかをまとめつつ、LINE公式アカウント活用のポイントをご紹介します。
※公式アカウント・API型公式アカウント・ビジネスコネクトアカウント・カスタマーコネクトアカウント・API型LINE@
LINE公式アカウントとは?
LINE公式アカウント統合のポイント(おさらい)
まずは、LINE法人向けアカウントの統合に関するポイントをまとめてみます。
- 従来の法人向けアカウントは「LINE公式アカウント」に一本化
→法人向けのアカウント体系がわかりやすく統一され、企業アカウント作成のハードルが下がる - 提供される機能が統一
→APIを含めこれまで利用できなかった機能が利用できるようになる。(一部審査が必要) - メッセージの配信数により3つの料金プランがあり、無料枠をこえるメッセージの配信は通数課金になる
→一部企業においてはメッセージ配信コストが増える可能性がある - 新LINE公式アカウントの開設は2018年12月3日から開始
→サービス統合は2019年春以降を予定しており、移行期限内(2019年夏頃までの予定)に統合後の新サービスへの移行手続きが必要。既に利用中のLINE@アカウントは2019年4月18日より2020年1月13日の期間、任意のタイミングで、統合後のLINE公式アカウントへの移行手続きが必要。移行期限内であれば新サービスへの移行を行わない限りは、現在のアカウントの機能・料金を継続して利用可能。(※2019年7月18日発表の移行期間延長の案内をうけて修正。)
サービス統合に伴うアカウント移行について(移行期間延長に伴う移行スケジュール変更)
既に利用中のLINE@アカウントは2019年4月18日より2020年1月13日の期間、任意のタイミングで、統合後のLINE公式アカウントへの移行手続きが必要となります。移行期限内であれば新サービスへの移行を行わない限りは、現在のアカウントの機能・料金を継続して利用可能です。
移行期間終了後、サービス移行が行われていないLINE@アカウントに対しては、2020年1月14日より順次LINE公式アカウントへの強制サービス移行が実施されます。
この場合、LINE@時の料金プランによってLINE社指定のLINE公式アカウントの料金プランにそれぞれ移行されます。(下記参照)

LINE公式アカウントとLINE Account Connect
LINE Biz-Solutionsとは、LINEが提供するフルファネルマーケティングの基盤を構築し、企業のビジネス課題を解決するソリューションです。
LINE Biz-Solutionsは大きく「LINE広告(旧 LINE Ads Platform)」「LINE Sales Promotion」「LINE Accout Connect」で構成されています。
LINE Account Connectは、LINE公式アカウントをベースに、ユーザーと企業との距離を縮め、長期的な関係構築を実現するためのソリューションです。
特に統合後のLINE公式アカウントでは、セグメント配信機能の拡充やチャット機能の提供、さらにはMessaging APIの提供によるOne to Oneコミュニケーション等、ユーザー一人ひとりに最適なパーソナライズされたコミュニケーションを行いエンゲージメントを高めていくための活用機会が広がっているといえます。

LINE公式アカウントの費用
アカウントプランと料金体系
LINE公式アカウントにはメッセージの配信通数に応じて3つのプランが用意されています。
無料メッセージ通数を超えるメッセージの配信については追加メッセージ料金が発生します。(※プランの変更は可能。一斉配信、セグメント配信、APIによる配信に関わらず通数課金の対象)


例えば、スタンダードプランで100,000通のメッセージを追加配信をする場合(合計145,000通のメッセージ配信)、305,000円の費用がかかる試算になります。
(無料通数分45,000通:15,000円) +(50,000通×3円)+(50,000通×2.8円)=305,000円
課金対象となるメッセージ種別
すべてのメッセージが課金対象となるわけではないことに注意が必要です。例えば、チャット機能(1:1トーク)やMessaging APIの「Reply API」を活用した返信は課金の対象とはなりません。
課金対象となるメッセージ種別
- メッセージ配信 (セグメント配信含む)
- Messaging APIの「Push API」
課金対象とならないメッセージ種別
- 1:1トークの送受信
- 自動応答メッセージ
- キーワード応答メッセージ
- 友だち追加時あいさつ
- Messaging APIの「Reply API」
アカウント種別(認証済アカウント)
LINE公式アカウントには、上述のプランとは別に、認証済アカウントと未認証アカウントの2つの種別があります。
認証済アカウントとは、LINEの審査を通過したアカウントで、一定基準の審査を通過している信頼の証である認証済アカウントのバッジ(青色)が付与されるため、ユーザーからの信頼性を高めることができます。また、認証済アカウントであれば、LINEアプリ内の友だち検索結果に表示させることができます。

さらに、LINE公式アカウントには基本的な機能の他に、申請することで利用が可能になる拡張機能が提供されています。(※LINE Biz-Solutions Partner経由による申請が必要)
これらの拡張機能の申請には前提として認証済アカウントである必要があります。認証済アカウントの詳細については下記の記事をご参考ください。
LINE公式アカウントの機能
新LINE公式アカウントでは提供機能が統一され、非常にわかりやすくなりました。
アカウントによっては、これまで利用できなかったカスタマーコネクト(LINEチャットAPI、LINEコールAPI等)やビジネスコネクト(Messaging API)、LINEログインなどがオプション機能として利用できるようになります。(※要審査)

LINE公式アカウント運用のポイントとは?
統合後のLINE公式アカウントの運用で重要なことは、表面上のコストだけでなく費用対効果(ROI)とユーザーファーストで考えることです。
例えば、とにかく友だちを集め、その友だち全員にむけてやみくもに一斉配信するのではなく、最適なユーザーに対して最適なタイミングかつ最適な方法でのコミュニケーションを行うことがユーザーファーストにつながり、かつメッセージ1通の価値を高める施策につながります。
LINE公式アカウントの機能を理解する
コミュニケーションのベースとなるメッセージ配信では、メッセージのフォーマットや配信対象のセグメントに加え、レポート機能による配信数やCTRなどの検証をもとに最適化してくことができます。
一方、メッセージ配信以外ではアカウントページやチャット機能、タイムラインの有効活用などでエンゲージメントを高めていくことができます。LINE公式アカウントの機能をトータルで有効活用するためにもまずはLINE公式アカウントの機能を理解しましょう。
メッセージ配信
自社のLINE公式アカウントを友だち追加したユーザーに対してメッセージを配信することができます。
メッセージにはテキスト情報だけでなく、画像、動画、クーポン、リッチメッセ―ジ、リッチビデオメッセージ、抽選ページが送信可能です。
ユーザーに分かりやすくかつ、アクションを誘導しやすいフォーマットを選択することでメッセージの効果を高めることができます。
リッチメッセージ
リッチメッセージは、トーク画面に大きく表示される画像メッセージです。
リッチメッセージ内は複数のエリアに分けることができ、1つのエリアに対して画像とURLを一つずつ設定することができます。
画像やテキスト情報を一つのビジュアルにまとめることができるため、通常のテキストと比較して高い誘導効果が期待できます。

セグメントメッセージ
友だちの性別・年代・居住地(都道府県まで)についてのユーザー属性情報が閲覧できます。また、みなし属性別にセグメント配信が可能です。
アカウントのユーザー層を把握した上で、性別・年代・居住地にあわせたメッセージの配信ができます。

自動応答・キーワード応答機能
ユーザーから話しかけられた際、自動で送信されるメッセージを登録することができます。あらかじめキーワードを設定しておくことで、それに応じて自動返信することも可能です。

チャット機能
LINE@でのみ利用できたユーザーとの1:1トークが「チャット機能」として公式アカウントでも利用可能になります。
管理画面を通じて企業と特定のユーザーとの間でやり取りができるため、カスタマーサポートなど個別対応や特定のユーザーとのコミュニケーションが手軽にできます。
チャット機能は1:1だけでなく、複数のユーザーグループとの1:Nのチャット対応も可能になります。(トークログは最長2カ月保存)

【新機能】シンプルQ&A
LINE公式アカウントの新機能として、「シンプルQ&A」がリリースされています。
シンプルQ&Aとは、LINEのAIを活用し、ユーザーからの簡単な質問に自動返信することができる機能です。ユーザーから送られてきたメッセージのカテゴリーをAIが判別し、カテゴリーごとに設定された回答メッセージを自動で返信します。また、自動返信が難しい回答については、有人でのチャット(マニュアルチャットモード)に切り替えることができます。回答メッセージの設定は「シンプルQ&A」の設定ページから設定できますので、チャット機能を手軽に導入することができます。

予め、よくある問い合わせの以下19のカテゴリに対して、回答メッセージを設定することができます。
- 一般的な質問:あいさつ/使い方/お礼/応答不可/クレーム
- お店の基本情報:おすすめ/営業時間/予約/支払い/予算/住所/最寄り駅/Webサイト/電話番号
- お店の詳細情報:Wi-Fi/コンセント/座席/禁煙・喫煙/駐車場
アカウントページ
アカウントページは企業やブランド基本情報を掲載できるページです。
Web上に公開され、アカウントの認知に活用できます。

リッチメニュー
リッチメニューとは、公式アカウントのトーク画面下部に表示される固定のメニューです。
分割されたリンク付きの画像で構成されており、分割されたメニュー内のエリアをタップすると、外部サイトへの誘導や、事前に設定したキーワードの送信、吹き出し設定が可能です。通常のテキストと比較して視認性に優れており、複数の導線を用意できるなどのメリットがあります。
リッチメニューの設定には複数のテンプレートが用意されており、また、管理画面から期間を指定して表示・非表示を指定することもできます。

レポート機能
メッセージ配信数、クリック数などのメッセージに関するレポートや友だち数、タイムラインなどの統計情報が確認できます。
レポート機能による配信数やCTRなどの検証をもとに最適化していくことができます。

お役立ち資料ダウンロード(無料)
最適なOne to Oneコミュニケーションのために
上記でご紹介したLINEの公式アカウントのベーシックな機能に加えて、オプション機能の活用でさらに一歩進んだ双方向のOne to Oneコミュニケーションが可能になります。
LINEログインを活用したID連携促進
メッセージの配信数が運用コストに影響することからも、メッセージ1通の価値を高めていく、つまり、自社のビジネスやサービスに興味関心が高い友だちを集め、その友だち一人ひとりに対して最適なコミュニケーションによりLTVを高めていくことの重要性が高まります。その点においてもLINEログインの活用は有効です。
LINEログインのメリット
- 新規会員登録率の向上:LINEアカウントに登録済の個人情報をフィルインできるため、フォーム入力のハードルを下げる
- アカウントの友だち数を増やす:自動友だち追加機能により、会員登録フローの中で、自社Webサイトやサービスに関心の高いユーザーをLINEの友だちに追加できる
- ID連携の促進:ユーザーの会員IDとLINEアカウントをユーザー登録時時に自然な流れでID連携することができる=One to Oneメッセージを配信できる会員を増やす
- オートログインでCVフローを大幅に短縮:オートログイン機能によりサイトにログインした状態で誘導(アプリ内ブラウザ)サイトへの誘導から購買、購買完了通知まですべてLINEのアプリに集約できる
Messaging API活用でフレキシブルな双方向コミュニケーションを実現
Messaging APIとは、LINEが一般公開している、LINEのアカウントを通じてユーザーとの双方向コミュニケーションを実現するAPI(Application Programming Interface)です。
Messaging APIを活用することでLINEの管理画面を介さずに特定のユーザーに対してパーソナライズされたメッセージの送信や双方向のコミュニケーション、LINEのトーク画面を使った対話型Botアプリケーションの開発が可能となります。
テキストベースのメッセージ、画像メッセ―ジや、テンプレートメッセージ等様々なメッセージタイプに加え、複数の要素を組み合わせてHTMLに近い感覚でレイアウトを自由にカスタマイズできるメッセージタイプであるFlex MessageやLINEアプリのトークルーム内で動作するウェブアプリの実装ができるLINE Front-end Framework(LIFF)の活用で、より柔軟かつ操作性の高いメッセージ配信が可能となります。

LINEログインとMessaging API活用事例~福岡市粗大ごみ収集の申込実証実験
福岡市で実施しているLINEを活用した「粗大ごみ収集の申し込み」の実証実験では、LINE公式アカウント「福岡市粗大ごみ受付」を友だち追加することで、チャットを利用してトーク画面から簡単に粗大ごみ収集の申し込みを行うことが可能です。
本取り組みでは、粗大ごみ収集受付にLINEを活用することでユーザーの利便性を高め、開始2週間で約7,000人の友だちを獲得しました。
この粗大ごみ受付のbotでは、LINEログインをはじめ、PROFILE+(プロフィールプラス)、Quick Reply(クイックリプライ)、LINE Front-end Framework(LIFF)やFlex Messageなど、LINEの最新機能が活用されています。
例えば、LINEログインとPROFILE+を活用することで、アカウント登録時に、登録済のメールアドレス、電話番号、住所、氏名をフィルインし、かつ、LINEアカウントと連携することができます。
これにより、その後の収集先の指定や次回利用時の入力を簡略化することができます。

また、Quick Replyは、特定のメッセージに対して複数のアクションを「クイックリプライボタン」として表示させることで、ごみを出す日やごみの個数選択時などにユーザーが直接テキストを入力する手間を省いています。

Flex Messageでは、複数の要素を組み合わせにより、より柔軟かつ操作性の高いメッセージ配信を行っています。

動的なリッチメニューを実現するLIFFでは、申し込み時のユーザーのストレス軽減のため、ユーザーの操作に反応して自動で動くリッチメニューの活用や必要がなくなったメニューの非表示などで操作性の向上を実現しています。

その他のオプション機能
他にも様々なオプション機能の活用でユーザーとのコミュニケーション機会を広げることができます。(※要審査)
法人向けカスタマーサポート:LINEチャットAPIやコールAPIの活用でAIを利用した無人のチャットサポートや有人によるチャット・音声通話等、状況やニーズに応じたカスタマーサポートをLINEに集約することができます。
待ち時間軽減などユーザー満足度向上やカスタマーサポート部門の効率化が期待できます。
O2O施策での活用:LINE Beaconの活用では、店舗などに設置されたBeacon(Bluetooth発信機)から、周辺にいるユーザーに対してクーポンやセール情報、特別なメッセージなどをLINEの公式アカウントを経由してプッシュ通知を行うことができます。
LINEを起点にオンライン、オフラインの垣根を超えた最適なタイミングでのメッセージ配信が可能となります。
さいごに
LINE公式アカウントを活用した施策では、ユーザー一人ひとりにあわせたパーソナライズ対応をすることでLTVを高めていくことがポイントとなりそうです。
そのためにも、LINEのビジネスプラットフォームや提供サービスの理解を深めつつ、それらを自社にとりいれることでどんなメリットや効果があるのか、そしてその費用対効果についてしっかりと検討した上でLINEの活用施策を検討していきましょう。
LINE社のTechnology Partner(※)である弊社では、ソーシャルログインサービス「ソーシャルPLUS」を提供する中で、LINEログインによるID連携や自動友だち追加の導入など、LINEのAPIと連携した技術開発やサービス提供を行っております。多くの企業様のLINE活用をサポートさせていただく中で、LINEに関する仕様からLINEを活用したマーケティング施策のトレンドまで最新情報のキャッチアップを積極的に行っております。
LINEを活用した企業のOne to Oneコミュニケーションに関して不明な点などお気軽にお問合せください。
- ソーシャルPLUS:https://socialplus.jp/line/
※弊社フィードフォースは、LINEの法人向けサービスの販売・開発のパートナーを認定する「LINE Biz-Solutions Partner Program」の「LINE Biz Account」部門において、「Technology Partner」に認定されております。( https://www.feedforce.jp/release/13092/ )
(執筆:松元)