前回の記事 では、ソーシャルログイン導入時に押さえておきたいポイントや、いざ導入の段階で躓いてしまいがちなポイントなど現場でよく見聞きする声を踏まえてご紹介しました。また、その中で、UX・UIの重要性についても少しだけ触れました。
ソーシャルログインは、ユーザーが目的を達成するために利用されます。
例えば、Yahoo!で検索をしている際、リスティング広告の商品を購入するためにクリックしてランディングページから会員登録を行うケース、Facebookのタイムラインでシェアされた旅行の記事を見てサイトに訪れ、宿泊の申込をするためにログインをするケースなど利用状況は様々です。そうした様々なケースにおいて、ソーシャルログインは何よりユーザーにとって便利なものであるべきだと思います。
今回は、ソーシャルログインが、単に自社サイト・アプリのユーザビリティの向上というメリットをもたらすだけでなく、ソーシャルログインを軸とした他のメディア・プラットフォームとの連携といった新たな流れを踏まえながら、企業としてどんな事を意識する必要があるのか?そのポイントとなる考えを、注目の集まるLINEログインに関連してご紹介したいと思います。
LINEログインとOne to Oneメッセージ
LINEログインは今後ユーザーの動きを変える
企業がユーザー行動の多様化に対応しユーザーに最適なメッセージを届ける手段として、自社アプリに注力をするのか?モバイル広告に注力をするのか?限られたリソースの中、様々な施策を検討されていることと思います。
今回LINEログインを取り上げる経緯として、LINEログインによるID連携とメッセージを組み合わせたOfficial Web App(以下OWA)の取り組みが多くの企業とユーザーにとってのモバイルシフトの流れを象徴するものだと考えているためです。
OWAの文脈を正確に捉えていくことが、ソーシャルログインの活用はもちろんのこと様々なデジタルマーケティング施策を横串で見ていくためのヒントとなるでしょう。
まず、OWAが重要となる背景はユーザーのスマホでの行動形態にあります。
「LINE」はスマートフォン利用者の約80%にあたる4,807万人が利用、さらには男女各年代で均等に利用者がいる(出典:2017/03/07 ニールセン「 SNSやコミュニケーションアプリの利用状況を発表より」)ということからも、日本において生活インフラの一部となっており、ユーザーとの接触機会の創出といった観点からも無視できないプラットフォームとなっています。
そんな中、昨年リリースされたLINEのOWAの仕組みを利用することによって、LINEというコミュニケーションプラットフォームを企業のマーケティングにそのまま活用することが可能になります。
つまり、企業はネイティブアプリを開発することなく、今あるWEBをそのままLINEアプリ上で提供し、LINEアプリ内で集客からアクション誘導、リピート促進といったOne to Oneコミュニケーションが可能になるのです。
LINEログインはこれまでのソーシャルログインのメリットである「自社サイト・アプリのユーザービリティの向上」に加え、ソーシャルログインを軸とした他のメディア・プラットフォームとの連携という新しいマーケティング上の価値があるといえるでしょう。
LINEログインにみるUX・UIのポイント
では、具体的にどのあたりがLINEログインで大きなメリットとなるのか?今までのソーシャルログインとはどのように文脈が異なるのか?下記の図とあわせてポイントをご紹介できればと思います。
1.LINEアプリと連動するオートログインが可能になる
あるECサイトがLINEアカウントを運用しており、ユーザーがECサイトからのLINEメッセージやユーザーのタイムライン上でセール商品に関する情報を見たというケースを想像してみてくだい。Eメールであれば、ユーザーに会員登録や購入などの具体的なアクションをとってもらうためにSafariやChromeへの遷移が必要となり、ユーザーは複数のアプリと画面を閲覧せざるを得ませんでした。それがLINEであれば、LINEのアプリ内ブラウザを使ってECサイトへの誘導が可能です。
LINEアプリ内ブラウザを利用することで、遷移と同時に自動的にLINEログインさせる事が可能になり、LINEのメッセージを見て気になった商品をそのまま直ぐに手元のLINEアプリ内でシームレスに、ストレスフリーに買うこともできるのです。自社用のネイティブアプリが不要なので導線がより自然になる事は企業のコミュニケーションとしてはもちろん、ユーザーにとって何よりのメリットです。
2.SNS自体へのID/PASS入力のログインさえ不要になる
LINEログインの特徴として、ユーザーはスマートフォン(iOS / Android)のブラウザ、もしくはLINEアプリ内ブラウザからLINEログインをすると、自動的にLINEアプリと連動し、メールアドレスとパスワードを入力する事なくログインをする事が可能です。
FacebookやTwitterの場合は既にブラウザ上でログインしている場合にID/PWの入力が不要になりますが、LINEの場合はブラウザtoアプリで連動が可能です。
LINEログインの場合、ログインをする際も煩わしいSNS自体へのログインは不要でそのままソーシャルログインができてしまいます。これが他SNSとは異なるLINEの特性で、セキュアにログインフローの省略が可能です。
3.CVまでのフローを大きく削減できる
LINEログインでは、「プロフィール+」というLINEアプリに登録されているユーザー情報をサイトの会員登録時に利用できる機能があります。いわゆるEFO(注1:)としての活用です。「プロフィール+」を利用することによって、メールアドレスや性別などの入力作業の省略が可能となります。
(注1:EFOとは:エントリーフォーム最適化のことで、ユーザーが利用しやすいように、入力フォームの仕様やデザインの改善を行うこと)
またLINEの場合、LINEブラウザ内であれば、「どのLINEユーザーであるか」の特定が可能です。そのため例えば、既にLINE連携済のユーザーにセール商品紹介のURLをメッセージとして送れば、そのURLをタップして遷移した際に同時の企業サイトへのログイン処理を走らせることもできます。セール商品をすぐに買いたいというユーザーに、最短距離の導線が用意できます。離脱率改善はどの企業でも共通した課題かと思いますが、有効に働く施策となります。(もちろん決済時には再度ログインをさせるなどのセキュリティ的な制御は対応可能。)
リテンション施策としての活用
ID連携率を高めるソーシャルログイン
上述のように、ソーシャルログインは会員登録や購買のアクイジション(CV獲得まで)の観点で大きな役割を果たします。LINEの場合にはここから更にリテンション(CV獲得以降)の観点でも活用できるのが大きなポイントです。CVを獲得するまでだけでなく、その後のCRM活動やCS活動に使える全方位的な施策です。
その際、一番のポイントとなるのが、ユーザーの会員IDとLINEアカウントとの「IDの連携」になります。
たとえLINEアカウントでたくさんの友だちを獲得したとしても、IDの連携ができていなければユーザーの特定ができず、双方向、One to Oneコミュニケーションは実現できません。実際、ID連携率を中々高めることができていないという課題も現場でよくお聞きします。
その点LINEログインを利用することで自社サイトの会員とLINE IDをスムーズに紐付けることができるため、「この人にこんなメッセージを送りたい」というセグメント配信やOne to Oneコミュニケーションが可能となります。
LINEログインの導入によってIDの連携率を高め、LINEでOne to Oneメッセージを届けられる会員数の増加などの効果をあげることに成功した事例をご紹介します。
日本最大級のゴルフ総合サービスサイトを運営する株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)様はLINEログインの導入によって、LINE@の有効友だち数(注2:)のうち、LINEログインをしてGDO会員IDとLINEアカウントを連携したユーザーが7割を超え、さらには有効友だち数の約半数が新規会員登録につながるなど、LINEで直接メッセージを届けられる会員の数を順調に増やすことに成功しました。
(注2:有効友だち数: LINE@アカウントの友だち数のうち、ブロックされたユーザー数を除いた人数)
◆GDO様事例インタビュー
チャットBOT活用のすすめ
LINEでのOne to Oneのコミュニケーションは既にいくつか事例があります。初めはメルマガと同じような運用をされるケースが多いですが、LINEならではの取り組みとしてチャットBOTの活用をお勧めします。
チャットBOTの活用方法は大きく分けて二つあります。お客様の問い合わせ一次対応とマーケティングでの活用です。
お客様の問い合わせ一次対応の例として、ユーザーからのメッセージには、予めチャットBOTへセットしたFAQの内容から、ユーザーの発言に含まれるキーワードを元に自動返信し、この自動返信の内容を組み合わせることで、多くのケースでの初期対応を全て機械に任せることができます。
(チャットBOTによるLINEトーク画面上でのキャンセル手続き自動対応例)
また、チャットBOTで解決しない場合に有人対応に切り替え、的確なコミュニケーションをすることで必要最小限のリソースでCRMやCSといったユーザーに対して攻めのマーケティングと守りのマーケティングの両立が可能となります。
マーケティングの活用においては、チャットBOTを活用することで、会員の属性情報や行動履歴等の自社データに加え、LINE上でのトーク履歴をもとに、会員のニーズに合わせた精度の高い商品案内が可能になります。
チャットBOTは人間に近い存在のため、WEBやメールでのアンケートよりも手軽にユーザーの属性情報を集める事ができます。属性情報が増えれば増えるほど、One to Oneメッセージの精度が向上し、精度が向上すればするほどコンバージョン率も向上します。
弊社ではソーシャルログインの支援に合わせて、メッセージングの機能も提供しており、BOTツールとも連携をしております。
機械に任せる領域と、人が効果的に支援できる領域とを棲み分けていく、一種の分かりやすい事例とも言えます。
◆ソーシャルPLUSの連携サービス例
今後の展開
SNSは単なるSNSとしての役割を超えて、ユーザーの生活の基盤となりつつあります。日本ではLINEは主流ですが、アメリカではFacebookがLINEに変わりこのようなプラットフォームとしての役割を果たしています。日本の場合でも、企業のターゲット層によってはFacebookがより良い相性を持つケースもあるでしょう。ポイントとしてはそうした複数のプラットフォーマーの動きに柔軟に対応できる状態ではないでしょうか。ユーザーやマーケティング効果によってどのプラットフォーマーをどのような戦略で活用し、自社メディアとの位置づけを形作っていくかを、柔軟に迅速に判断し実行できる環境を整えていくことが今後のモバイルシフトの時代で非常に重要になるでしょう。
ソーシャルログイン導入実績No.1サービス「ソーシャルPLUS」について
フィードフォースが提供する「ソーシャルPLUS」は、ソーシャルログイン機能を既存のWebサイトやネイティブアプリに簡単かつ安価に導入できるASPサービスです。
LINEやFacebook、Twitterなど、複数のプラットフォームに対応したソーシャルログインの実装実績が多数あり、国内の様々な企業においてソーシャルログイン導入の支援を積極的に行っております。
また、ソーシャルPLUSではLINEの「Official Web App」導入時に必要となる「LINEログイン」や「メッセージ配信」などの各種機能の実装を、シンプルに実現できるオプション機能を提供開始しています。
LINEログインをはじめとした効果的なソーシャルログインの導入や、LINEの「Official Web App」の導入をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。